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ラブライブの普及要因とこれからについて素人がちょっと考えてみた

当記事はラブライブ! Advent Calendar 2016 - Adventarの11日目の記事です。企画ありがとうございます。

 

はじめに

最近、ラブライブをよく知っている、好きだという方を多く見かけるようになりました。上司の小学生の娘さんや合コンで出会った女性等、その年齢層は様々です。個人的体験ではありますが、1年程前、名古屋の駅前の映画館で小学生の女の子たちがラブライブの映画館で売っているラブライブキャラクターがデザインされたポップコーンのセット(確か1年生組だった)を持って映画の感想を語り合いながら歩いているのを見て、ここまでファン層が広がっているのかと感動を覚えたのも記憶に新しいぐらいです。

アニメ放映(それも時間的には深夜帯に分類可能であろう)があったとはいえ、一雑誌の読者連動企画が何故これだけの幅広い年齢層に受容されているのか、ということについて疑問を持つようになりました。

なお、今回は「広いファン層の獲得」を本件における普及として定義し分析していくものです。

 

※注:著者はマーケティング等に関しては数冊本を読みかじったぐらいの素人です。マーケターやコンサルタントの方がいらっしゃったら是非ご意見いただけると幸いです。

 

プロダクトの普及率と溝

ロジャースの普及学から引用すれば、一般的に製品やサービスの普及率の推移はイノベーションによる上昇と飽和による下降をたどると言われています(詳細は下記図ご参照)。

普及学 - Wikipedia

その中で説明されているイノベーション普及モデルでは、縦軸を採用者数、横軸を時間として、採用速度によって以下5つのカテゴリーに分類されるとしております(カッコ内はプロダクトが属する市場における採用者数の割合)。

・Innovators (2.5%)

・Early adopters (13.5%)

・Early majority (34.0%)

・Late majority (34.0%)

・Laggards (16.0%)

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(出所:ムーア著「ライフサイクルイノベーション」より著者作成)

詳しい説明はWikiとかにいくらでも落ちてるのでこちらでは割愛させていただきますが、重要な点を言えば「Early adoptersとEarly majorityの間には大きな溝がある」ということです。

これはムーアのキャズム理論でも説明されており、プロダクトの普及率は新しいものを進んで好むInovatorsとトレンドに敏感なEarly adoptersを合わせた16%にとどまるとされております。Early adoptersとEarly majorityの間にあるキャズム(深い溝の意)を超えるためにはそれぞれの層に合わせたマーケティングが必要ということになります。

 

エンタメ市場におけるキャズム

ハイテク市場においては、利用者の生活様式を大きく変えてしまうような製品は新しいもの好きには受け入れられるものの、実利主義者たるEarly majorityには実用的でなければ受け入れられ難いという事実があります。例としては、スマートフォンの普及に際して、ガラケーでの物理ボタンに慣れた人たちに対していかに抵抗無くタッチパネルに慣れさせるか、ということも恐らく論点ではあったでしょう。

一方、エンタメ市場におけるアニメ作品の普及プロセスを考慮した際、InnovatorsとEarly adoptersはどのようなユーザーが適合するのかと言えば、誰も知らない段階でトレンドを先取りしていきたい人たち(所謂古参と呼ばれる人たちでしょうか)がInnovators、アニメ化決定時点やアニメ化した時点でトレンドを受容する人たちがEarly adoptersと言った分類になるかと思われます。

キャズムを超えるには、特定のEarly majority層(ニッチな実利主義者)に対して実利を満たすことや機能的に使えることをアピールしてもらったり、体験してもらうことが必要です。

 アニメだけでなく音楽や他の映像作品等を含む広義のエンタメ市場においては、とあるアニメ作品が実利的である(=彼らの趣味となるコンテンツの一部になる)ことを他のユーザーにも訴求することが求められます。

 

ラブライブはどうしてキャズムを越えたのか

この問いに対する答えとしては、ラブライブが持つ高いコンテンツ性を正しく訴求することができたから、ということに集約されると考えております。

ラブライブの競争優位性はアニメとしてのストーリーは勿論、それ以上に細部に拘ったキャラクター、音楽とダンスパフォーマンスに起因するところがあります。ラブライブのアニメを見たことのある方ならお分かりかと思われますが、特に無印ラブライブではキャラクターの個々の描かれ方が非常に強い印象があります。また、音楽やダンスについては本格的に作り上げられており、特にダンスシーンについては一貫して妥協することなく作り上げられていると考えております。なお、この点の考察については個人的感想も強いと認識しておりますが、他のプロダクトとの比較における優位性を示すことが少々難しいため(純粋に比較できるものや代替品が無いため)、このような形になっております。

一方、コンテンツの訴求手段となるマーケティング手法はいかなるものだったのかと言えば、それはスクフェスのリリースにフォーカスすると解が少し見えてくるのではないかと考えております。

 

スクフェスラブライブの持つ強みをスマホユーザーに訴求した

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(出所:Klab株式会社決算説明会資料)

上記は国内ユーザー数の増加推移であり、スクフェスのユーザー数は1期アニメ放映後のリリース日(iOS向けが2013年4月15日、Android向けが2013年6月6日)から順調に増加しています。2016年3月には国内ユーザー数は1,500万人を突破し、日本の人口12,692万人(2016年3月1日概算値)の約12%がユーザーであるということになります。

エンタメ市場が対象とする市場の人口規模は定かではないものの、少なくとも現状ではキャズム越えの目安の16%を超えていることは確かではないのでしょうか。

実際にプレイした人ならお分かりだとは思いますが、スクフェスの強みはラブライブの楽曲をフリーで楽しむことができ、様々なキャラクターデザインを楽しむことができると言う点にあります。これらの強みを、アニメにそこまでの興味は無いが従来のスマホゲーム(例:パズドラ等)を楽しむユーザーに訴求できた点をキャズム越えの一つの要因として見ることができるでしょう。

実際にスクフェスのユーザー属性を見てみると、以下のようになっているようです。

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(出所:App ape)

スマホの中にインストールされている数(所持数)の割合ではありますが、女性ユーザーが多いことが分かります。ライブ現場等に行ったことのある方なら体感で理解できるかと思われますが、ラブライブの現場は男性の割合が多いです。その事実を鑑みれば、スクフェスが「イベントには行かないがラブライブの楽曲等のコンテンツは享受しうる、音楽等への受容性が高い」ようなEarly majorityを取り込むことに寄与していることがうかがえます。

 

成熟したラブライブに求められること

キャズムを越え、東京ドームのキャパシティでライブが可能になったラブライブは明らかに成熟ステージに突入しています。成熟したプロダクトがcustomer intimacyを向上させるために必要な手段として、4つのイノベーションが存在すると言われております。それらのイノベーションは「製品ライン拡張イノベーション」、「機能強化イノベーション」のプロダクトの変更や機能強化によるもの、「マーケティングイノベーション」のマーケティング手法の変更によるもの、「顧客エクスペリエンスによるイノベーション」に大別されます。

コンテンツ産業において、差別化により競争優位を図ると言う観点では、コンテンツそのものに触れることがユーザーに対する差別化の訴求につながると考えております(その意味では、ラブライブサンシャインは「製品ライン拡張イノベーション」に分類されます)。顧客エクスペリエンスイノベーションにおいては、コンテンツそのものはコンテクストであり、顧客エクスペリエンスこそがコアであるという考え方に基づいて差別化を図ることになります。

顧客エクスペリエンスの良い例がディズニーランドです。映画のシナリオを再構築した乗り物や施設を再現し、細部にまでディズニーの世界の一貫性を持たせることでテーマパーク内の顧客体験は心理的にも物理的にもディズニーの世界そのものの体験となっています。この顧客体験を継続して提供することが他のテーマパークとの差別化要因になっており、競争優位の源泉にもなっていると考えられます。

今後のラブライブが競争優位であるためには、ラブライブの世界やこれまでこだわってきたであろう楽曲やダンス、キャラクターの描き込みに忠実となってライブパフォーマンスを実施すること等で、特有の顧客エクスペリエンスを提供し、顧客との安定した関係を維持することが必要なのかと考えております。

 

おわりに

色々とグダグダと書き連ねた割には「スクフェスラブライブの持つ強みをライトユーザーに波及させた」といったアタリマエの結論しか言えてないのはさておき、僕はラブライブが好きです。好きだからこそGoing Concernなコンテンツであって欲しいと思ってやまないものです。

だからこそ僕はラブライブコア・コンピタンスである「強いキャラクター性」「楽曲」「ダンスシーン」を忠実に守ってくれることを期待していますし、それを非力ながらも下支えしていきたいと思っています。少なからずこの強みでポジショニングを取っているのはラブライブ先行者であると僕は考えてますし、そんなマーケットリーダーとしてのラブライブに、今後の活躍を期待するばかりです。

 

余談ですが、日曜の昼間に文章を書いてみるのもなかなか面白い経験だったので、これからも自己啓発を兼ねて様々な分野で執筆してみるのも良いかなと思っています。拙文に御付合いいただきありがとうございました。